旅館の縁側・露天風呂まわりに人工木材が選ばれる理由
「木の風情はどうしても残したい。でも、縁側の板が毎年どこかしら傷んでくる」「露天風呂の脱衣側のすのこが、湯気と水はねで数年もたずに黒ずんでしまう」——そんな声を、旅館の女将さんや支配人の方からよくお聞きします。
旅館という建物は、和の風情そのものが商品です。磨き込まれた縁側、湯船の縁に張られた濡れ縁、中庭の飛び石に寄り添う板張り。その一枚一枚が、お客様が「いい宿だった」と感じてくださる理由になります。ところが同時に、旅館は木にとって日本でもっとも過酷な環境でもあります。露天風呂まわりは一年じゅう湯気にさらされ、床板は常に濡れたまま乾く暇がありません。縁側は雨足が吹き込み、中庭は日陰で湿気がこもる。天然木であれば2〜3年ごとの再塗装が前提になり、傷みの進んだ板は数年おきに張り替えることになります。少人数で切り盛りされている旅館ほど、この手入れが正直しんどいですよね。

本記事では、そんな旅館ならではの悩みを踏まえたうえで、腐らない・塗装不要・メンテナンスフリーの人工木材「Eee-Wood」がなぜ選ばれているのかを、宿を運営される女将・支配人・オーナー様の目線と、改修を手がける工務店・設計事務所様の目線の両方から解説します。
「人工木材は和の建築に合わないのでは」というご心配にお答えする実際の施工事例もあわせてご紹介します。

<この記事のポイント>
- 旅館の縁側・露天風呂まわりに人工木材が選ばれる3つの理由が具体的にわかる
- 和風建築に人工木材がどう馴染むのか、実際の施工事例でわかる
- 夏場の表面温度や伸縮など、素足で歩く場所だからこそ知っておきたい注意点がわかる
初稿:2026/9/16
<目次>

旅館に人工木材「Eee-Wood」が選ばれる3つの理由
旅館で人工木材が使われる場所は、縁側・濡れ縁にとどまりません。露天風呂や貸切風呂まわりのデッキ、中庭や坪庭の飛び石まわり、離れへ続く渡り廊下、玄関アプローチ、隣家や道路からの視線を切る目隠しフェンス、足湯まわりのベンチや床——お客様の目と足がふれる場所のほとんどが対象になります。
ここでは、旅館という場所ならではの事情に沿って、Eee-Woodが選ばれている3つの理由を順にご説明します。
その1.和の風情を残したまま、湯気・雨・湿気による腐食と黒ずみの不安から解放される

露天風呂や貸切風呂のまわりは、天然木にとってもっとも条件の厳しい場所のひとつです。湯気は上からも下からも木材にまとわりつき、掛け湯や水はねで床板は常に濡れています。しかも和の意匠を大切にする旅館ほど、周囲は植栽や岩で囲まれ、風通しが良いとは言えません。乾く間もなく濡れつづける木は、やがて表面が黒ずみ、踏むと沈む箇所が出てきます。
縁側や濡れ縁も同じです。庇があっても、横なぐりの雨は容赦なく板を濡らします。雪の降る地域であれば、積もった雪が溶けて板の上に長く水が残ります。中庭や坪庭に面した板張りは日照が限られ、苔や藻が出やすい。こうした場所を天然木で維持しようとすると、防腐塗料の塗り直しが2〜3年ごと、傷みの進んだ板の部分交換はそれより短い周期で発生することも珍しくありません。
人工木材のEee-Woodは、木粉と樹脂を混ぜ合わせて成形した均質な素材です。木の繊維がむき出しの天然木と違い、素材そのものが樹脂を含むため水を吸い込みにくく、腐食やシロアリの心配がなく、塗装・防腐処理も一切不要です。湯気の多い浴場まわりや、雨のかかる縁側でも、素材の傷みを気にせずお使いいただけます。
そしてなにより、旅館のご担当者様が気にされるのは「風情が損なわれないか」という一点です。Eee-Woodは天然木の木目を再現しているため、障子や格子、土壁、瓦といった和のしつらえのなかに置いても浮きません。木の見た目と手触りは残したまま、腐る・変色するという心配だけを外す——これが、和の風情と手入れの負担との板挟みになっていた旅館で選ばれている最大の理由です。
日々の手入れも、基本的には水を流してデッキブラシで洗い、汚れが気になる箇所は中性洗剤で洗い流す程度で済むケースが多く見られます。仲居さんが朝の支度の合間に拭き上げる、という運用でも十分に美観を保てます。
その2.再塗装や張り替えのための休館がいらず、少人数の旅館でも手入れが回る

「塗装が必要」ということは、旅館にとって単なる塗料代の問題ではありません。塗装をする日は、その場所をお客様にお見せできないということです。露天風呂まわりを塗り直すなら浴場を止める必要があり、縁側を塗るなら客室の利用に制限がかかります。乾燥時間まで含めれば数日単位。においが気になる時期もあります。
結果として、工事は閑散期に寄せるしかありません。ところが閑散期は資金繰りも厳しく、職人さんの確保も地域によっては簡単ではない。かといって繁忙期にはとても止められない——この「工事をいつやるか問題」に、毎年頭を悩ませている旅館は少なくありません。
Eee-Woodは塗装が不要なため、定期的な再塗装のために営業を止める必要そのものがなくなります。数年ごとに訪れていた「今年はどこを塗るか」という判断も、職人さんの手配も、そのための休館日の設定もいりません。少人数で運営されている旅館や、ご家族で切り盛りされている宿ほど、この効果を大きく感じていただけます。
初期費用については、天然木のなかでも安価な樹種と比べると人工木材のほうが高く感じられる場合があります。ただし旅館の場合は、塗料代や職人さんの手間賃に加えて、工事期間中に稼働できなかった客室・浴場の機会損失まで含めて考える必要があります。これを織り込むと、長い目で見たときのコストは人工木材のほうが有利になるケースが多く見られます。
実際の差は、施工面積・現状の傷み具合・客室単価・年間の稼働状況によって大きく変わります。「うちの縁側と露天風呂まわりを替えると、どれくらいで釣り合うのか」といったご相談も承っていますので、具体的な見積りでご確認ください。
なお、改修を担当される工務店・設計事務所様からは、「工期が読みやすい」という点を評価いただくことがあります。天然木のように材の反りや含水率のばらつきに左右されにくく、既製の規格材として寸法が安定しているため、限られた休館期間のなかで段取りを組みやすいという声です。
その3.素足・浴衣・スリッパで歩く場所でもささくれが出にくく、お客様のケガを防げる

旅館という場所の特殊性は、お客様がほとんど無防備な足元で歩かれることにあります。露天風呂へ向かう通路は素足。客室から縁側へ出るのも素足か足袋。浴衣の裾は床すれすれで、スリッパは薄い。お子様連れやご高齢のお客様も少なくありません。
天然木は、経年で表面の繊維が毛羽立ち、ささくれが発生します。とくに濡れと乾燥を繰り返す浴場まわりは進行が早く、見た目にはわからない程度の小さなささくれが足裏に刺さる、というトラブルにつながります。宿にとってこれは単なる設備の問題ではなく、お客様のケガとクレームに直結する問題です。お一人の足裏のささくれが、そのまま口コミの評価に響くこともあります。
Eee-Woodは木粉と樹脂を主原料とする均質な素材で、天然木のような繊維の方向性がありません。そのため経年でもささくれが出にくいのが大きな特長です。素足で歩く場所、浴衣で腰をおろす縁側、お子様が走る中庭まわりなど、安全への配慮が求められる場所で選ばれています。
また、旅館では「木の質感を長く保てること」自体が空間価値になります。縁側・濡れ縁・露天風呂デッキ・渡り廊下・中庭の板張り・目隠しフェンス・足湯まわりのベンチと、Eee-Woodはデッキ材・柱材・ボード材・ルーバー材を揃えているため、宿のなかの複数の場所を同じ色味・同じ質感で統一できます。玄関アプローチから客室の縁側、露天風呂までが一本の意匠でつながると、宿全体の印象がぐっと引き締まります。
一方で、素足で歩く場所だからこそ正直にお伝えしておきたい注意点もあります。人工木材は樹脂を含むため、真夏の直射日光下では天然木より表面温度が上がりやすい性質があります。この点については後述の「商品詳細」と「よくあるご質問」で、対策とあわせて詳しくご説明します。
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導入事例(旅館・和風建築)
和風建築の家の目隠しフェンス(岐阜県のお客様)

旅館のご担当者様から必ずと言っていいほどいただくのが、「人工木材は和の建築に合わないのではないか」というご質問です。どれだけ手入れが楽になっても、宿の風情が損なわれてしまっては本末転倒ですから、当然のご心配だと思います。
その答えとしてご覧いただきたいのが、岐阜県のお客様の和風建築の家に設けた目隠しフェンスの施工事例です。日本家屋らしい佇まいの建物に人工木材のフェンスを合わせるという内容で、施工前は「和風建築に人工木材がどうマッチするのか」がまさに注目点でした。
施工の手順は、まずフェンスの支柱部分としてランバー材(柱材)を設置するところから始まります。支柱がしっかり立ったら、そこにフェンス部分としてボード材を張っていきます。支柱を先に決め、その上に面材を張り重ねていくという、木造の造作と考え方の変わらない進め方です。
完成後の仕上がりは、和風建築の家にも違和感なく溶け込むものになりました。木目の再現された板が縦横の線で構成されると、和の外構でなじみのある板塀や竹垣に近い落ち着いた表情になり、人工木材だと言われなければ気づかれにくい仕上がりです。
旅館に置き換えて考えると、この事例がそのまま応用できる場所はいくつもあります。隣地や駐車場からの視線を切る露天風呂・貸切風呂の目隠し、客室の縁側どうしの間に立てる袖壁、中庭を囲う板塀、玄関アプローチの袖フェンスなど、いずれも「和の見え方」と「湿気への強さ」を同時に求められる場所です。とくに浴場まわりの目隠しは湯気を浴びつづける部位なので、腐食や塗り直しの心配がない素材である意味が大きくなります。
なお、正直に申し添えておくと、同じ木目調でも色味の選び方によって和のしつらえへの馴染み方は変わります。既存の柱や建具、瓦や土壁の色を踏まえて選ぶことが大切ですので、実際のご検討にあたっては無料サンプルで現地の光の下での見え方をお確かめいただくことをおすすめします。あわせて、直射日光の当たる面は夏場の表面温度が上がりやすい点、気温変化でわずかに伸縮する点も、設計段階で織り込んでおくと安心です。
この事例の詳細は、施工事例ページでもご覧いただけます。
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商品詳細|人工木材「Eee-Wood」とは?
人工木材「Eee-Wood」は、木粉と樹脂を混ぜ合わせて成形した、腐らない・塗装不要・メンテナンスフリーの外構材です。おかげさまで売上本数78万本を突破し、個人住宅から集合住宅、店舗や施設まで幅広い現場でお使いいただいています。
天然木の質感を再現しながら、天然木の弱点である腐食・シロアリ・ささくれ・再塗装の手間を解消します。湯気や雨に絶えずさらされ、しかもお客様が素足で歩く旅館の縁側や浴場まわりは、この特長がもっとも生きる場所のひとつです。
Eee-Woodの基本仕様

Eee-Woodは腐食やシロアリの心配がなく、経年でもささくれが出にくいのが特長です。木粉と樹脂を練り合わせた均質な素材のため、天然木のように特定の年輪や節から割れが進むということがありません。
一方で、正直にお伝えしておきたい注意点が2つあります。
ひとつめは、夏場の表面温度です。人工木材は樹脂を含むため、天然木に比べて直射日光下では表面温度が上がりやすい性質があります。旅館の場合、露天風呂まわりや足湯まわりのようにお客様が素足で歩かれる場所があるため、この点はとくに丁寧にご検討ください。
対策としては、①よしず・すだれ・オーニング・庇・植栽などで日陰をつくる、②濃色より明るめのカラーを選ぶ(濃い色ほど熱を持ちやすいため)、③日中の打ち水や、浴場であれば掛け湯・掛け水の習慣を活かす、といった方法があります。旅館はもともと夏の設えとして、すだれや打ち水を日常的に行っている宿も多いため、比較的取り入れやすい対策といえます。素足での動線にあたる部分だけ足元にすのこや敷物を併用する、という運用をされているケースも見られます。
ふたつめは、気温変化によるわずかな伸縮です。人工木材は温度によってごくわずかに伸び縮みするため、施工時には板と板の目地、および端部(壁・柱・立ち上がりとの取り合い)に適切なクリアランス(隙間)を確保することが大切です。旅館は一日の中でも湯気と外気にさらされる温度差が大きく、寒冷地の宿であれば冬場との差も相当なものになります。このクリアランスを省いてしまうと、板同士が押し合って浮きや反りの原因になることがありますので、施工店・設計事務所様と納まりをよくご相談ください。
なお、この目地は排水の面でも有利に働きます。浴場まわりのように水が常に流れる場所では、板の上に水が滞留しにくい納まりにしておくことが、美観を長持ちさせることにもつながります。
豊富なラインナップ

Eee-Woodには、中空デッキ材(DM135 / D140 / DM140など)、無垢柱材、無垢ボード材(B100)、フェンス材、ルーバー材(L90 / L100)といったラインナップがあり、旅館の用途に合わせて選べます。
たとえば、縁側・濡れ縁・露天風呂まわりの床にはデッキ材、目隠しフェンスや袖壁には柱材(ランバー材)+ボード材、風は通しつつ視線だけを切りたい浴場まわりにはルーバー材、といった使い分けが考えられます。渡り廊下や中庭の板張り、足湯まわりのベンチ天板などにも応用できます。
カラーバリエーションも複数用意しており、柱や建具の色、土壁や瓦の色合いに合わせたコーディネートが可能です。落ち着いた濃色で数寄屋風の陰影に寄せる、明るめの色で中庭を広く見せる、といった調整ができます。ただし前述のとおり、濃色ほど夏場の表面温度が上がりやすい傾向があるため、素足で歩く場所は明るめ、視線の高さの目隠しは濃色というように、場所ごとに色を使い分けるという考え方もおすすめです。
新築の宿でも、既存の旅館の改修でも、どちらでも採用されています。改修の場合は、既存の縁側の根太や束がそのまま使えるかどうか、浴場まわりの下地がどこまで傷んでいるかによって工事の内容が変わりますので、現地確認のうえでのご提案となります。客室単位・浴場単位で少しずつ改修を進めていきたい、といったご相談にも対応しています。
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よくあるご質問

Q. 温泉のお湯や成分がかかっても大丈夫ですか?
A. 人工木材は一般的に樹脂を含むため、天然木のように水を吸い込んで腐食が進むという心配は少ない素材です。ただし、温泉は泉質によって条件が大きく異なります。酸性・アルカリ性の強さ、硫黄などの成分、湯温、かかり方(常時かかるのか、飛沫程度か)によって前提が変わりますので、一律に「問題ありません」と申し上げることはできません。実際の泉質や使用条件をお伺いしたうえで個別にご相談させていただければと思いますので、お気軽にお問い合わせください。
Q. 和風建築やしつらえに馴染むカラーはありますか?
A. カラーバリエーションを複数ご用意しており、落ち着いた色味を選んでいただくことで和の意匠にも馴染みます。実際に、和風建築のお住まいの目隠しフェンスとして施工し、違和感なく溶け込む仕上がりになった事例もございます。ただし、馴染み方は既存の柱・建具・瓦・土壁の色や、その場所の光の入り方によって変わります。無料サンプルを取り寄せて、実際の建物の前で見比べていただくのが確実です。
Q. 人工木材は夏場に熱くなりませんか?
A. 天然木に比べると表面温度は上がりやすい素材です。旅館では露天風呂まわりや足湯まわりなどお客様が素足で歩かれる場所が多いため、よしず・すだれ・庇・植栽などで日陰をつくる、明るめのカラーを選ぶ、打ち水や掛け水を活用するといった対策とあわせてご検討ください。日中に直射日光が長く当たる動線については、敷物やすのこを併用されている宿もあります。
Q. 営業しながら(休館せずに)施工できますか?
A. 場所と範囲によります。客室の縁側や貸切風呂まわりなど、区画を分けて止められる場所であれば、稼働しながら順に進めるという方法をとられるケースが多く見られます。一方、大浴場の床全面のように動線を完全に止めざるを得ない場所もあります。まずは「どこから手を付けるか」「どの範囲なら止められるか」を整理したうえで工程をご相談いただくのが現実的です。なお、施工後は定期的な再塗装のための休館が不要になる点が、旅館で選ばれている大きな理由のひとつです。
Q. 実物の質感を確認できますか?
A. はい。無料サンプルをご用意しています。木目の再現度や手触り、色味を実際にお確かめいただけます。女将さんや支配人の方だけでなく、設計事務所・工務店の担当者様と一緒にご覧いただくと、納まりや色の相談がスムーズに進みます。
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人工木材「Eee-Wood」は、「和の風情は残したいけれど、木の手入れがもう回らない」「露天風呂まわりの板が数年で傷んでしまう」「素足のお客様がささくれでケガをしないか心配」といった旅館ならではのお悩みを解決できる外構材です。
縁側・濡れ縁、露天風呂や貸切風呂まわりのデッキ、中庭・坪庭、渡り廊下、玄関アプローチ、目隠しフェンス、足湯まわりまで、宿のなかのさまざまな場所でお使いいただけます。まずは「この場所だけ」という部分的なご相談からでも構いません。
導入をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。担当スタッフが最適なプランをご提案いたします。改修を担当される工務店様・設計事務所様からのご相談も歓迎しております。
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この記事を監修した人

この記事を監修した人
一級建築士事務所サーロジック株式会社 高尾 裕稔
アートウッドの人工木材「Eee-Wood」は耐久性・耐候性ともに優れており、ササクレなどもできにくいため、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心です。ぜひ住宅の外構工事やリフォームをご検討の方は、品質の高い人工木材「Eee-Wood」をご利用ください!
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